審査資料への配慮を要望します

  • 2022年4月21日(木) 12:50 JST

2022年4月21日

厚生労働大臣 後藤 茂之 殿

社会保険診療報酬支払基金 御中

福井県保険医協会

会 長 津田 武嗣

副会長 吉田 浩士

副会長 三崎 裕史

副会長 粟田 浩史

審査資料への配慮を要望します

 貴職におかれましては、国民医療の確保のために尽力しておられることに敬意を表します。

 さて、医療機関が被保険者に適正な療養の給付をおこなったにもかかわらず、診療行為の費用が何処からも支払われない事態が生じています。これは、医療制度が正常に機能している状態と言えるのでしょうか。国や行政は、この異状事態を把握しているのでしょうか。

 次のような報告がありました。

① 疑い病名の多いなか、超音波検査(消化器領域、腎・泌尿器領域)を実施した。肝腫瘍の疑い(傷病名)として超音波検査(胸腹部)を算定し、検査領域のコード入力を腎・泌尿器領域として請求した。

② 審査機関から返戻(通知)があった。傷病名「肝腫瘍の疑い」なので、検査領域は「消化器領域」であることに気づいた(腎・泌尿器領域の検査は実施している)。事情を文書回答した。

③ 復点を却下された。腎・泌尿器領域とコード入力したもの(病名漏れ)を覆すことはできないという理由であった(検査領域を間違えたという理由では復点できない)。

 私たちは、次のように考えます。

①の問題点、違うコード入力(腎・泌尿器領域)を基準に病名漏れと扱われた

 検査領域違いを説明したにも関わらず、検査領域に対応する傷病名がない(病名漏れ)と言われて困惑しています。レセプト請求の為に実診療と違う傷病名に修正することはできません。

②の問題点、違う検査領域を入力したことの説明だけでは復点できないという回答

 まじめに回答したら原審通り(減点)になりました。復点に要する具体的な資料(診療録や検査資料)等の明示もありません。医療機関としては、為す術がありません。

③の問題点、査定は意思表示・請求権は消滅しない・配慮の義務(再審査に要する資料)がある

 1975年の「西尾訴訟」(岐阜地裁)により、査定は意思表示でしかなく、請求権は消失しないと解釈(最高裁も支持)されています。よって、誤りを修正した後は、速やかに診療報酬を支払わなければなりません。

 また、1988年に京都府内の病院がおこなった訴訟では「減点査定をした場合は、審査連絡書、増減点連絡書によって、なぜ減点されたのか、どのような資料が不足しているために減点査定されたのか、が保険医療機関にわかるように指摘し、再審査の機会に審査資料の補完が適切になされるよう配慮すべき義務がある」という大阪高等裁判所の判決が下されており、審査支払機関側の説明責任を指摘しています。

 よって、次のことを要望します。

一、返戻では、復点に要する書類を明示または口頭説明を実施すること

一、「摘要」欄記載のコード選択方式の導入について、医療機関の事務負担が軽減されたか確認すること

以上