医療機関と患者の負担を前提としない制度設計を求めます

  • 2022年6月22日(水) 17:59 JST

2022年6月22日

厚生労働大臣 後藤 茂之 殿

福井県保険医協会

会 長 津田 武嗣

医療機関と患者の負担を前提としない制度設計を求めます

~後期高齢者医療における窓口負担割合の見直しについて~

 貴職におかれましては、国民医療の確保のために尽力しておられることに敬意を表します。

 さて、事務連絡 令和4年3月31日 厚生労働省保険局高齢者医療課から「後期高齢者医療における窓口負担割合の見直しに伴う診療報酬請求書等の記載要領の一部改正等について」が発出されました。

 令和4年10月1日より3年間、高額療養費の枠組みを利用して、ひとつき分の負担増が最大でも3,000円に収まるような配慮措置が導入されることになりました。

 これに伴い厚労省は、同一医療機関での受診について、窓口負担が一定の限度額を超えた場合、超える分は現物給付になります。そのため、厚労省はレセプトコンピュータ等の改修を適切におこなうよう関係企業等へ依頼しています。

 そうでない場合(別の医療機関)は、被保険者の申請により、合算した窓口負担が一定の限度額を超えた場合、超える分は払い戻されます(初回の申請後は自動的に償還払い)。

 電子レセプト請求普及状況(施設数ベース)【平成27年5月請求分】によれば、電子レセプトに対応していない(紙レセプト)医療機関が全体で10.5%ほど存在します。歯科だけでみると16.8%です。レセプトコンピュータ等の改修で対応できない対象先と考えられます。

 当該対象先医療機関は、対象患者が受診する度に保険者へ照会して手作業で配慮措置をおこなうのでしょうか。電子と紙のレセプトを扱う医療機関が混在する状況では、様々な混乱や負担が予想されます。

 さらに、医療機関の院内処方・院外処方の違いが被保険者の利便性を大きく左右するのではないかと考えます。院内処方の場合は、現物給付のみで(償還払いの手続きをすることがなく)配慮措置が完結することがあります。院内処方の(医薬分業でない)医療機関の優位性(償還払いの手間がない)が確認できます。

 よって、次のことを要望します。

一、現物給付を前提として、すべての医療機関とすべての患者に負担のない制度設計に整備してください

以上